畠山先生最終講義の感想
3月18日、東京大学大学院医学系研究科の畠山昌則教授の最終講義に参加しました。
僕は微生物の研究をするラボに配属になったので、微生物について少しでも知識が付けばいいなと思い参加しました。
畠山先生の研究は、大きく分けると、
がん細胞増殖因子(IL-2)の研究→がん抑制因子(RB)の研究→ピロリ菌感染の胃がん研究
といった形で行われており、どの研究も非常に面白そうな、惹きつけられるような内容でした。
この講義から学んだこと、興味深かったことを自分なりにまとめていこうと思います。
まず一つ目が、がん細胞増殖因子(IL-2)についてです。
抗体のT細胞受容体がウイルス細胞やがん細胞と結合する時にその結合を促進する因子があります。
それが、T細胞増殖因子(IL-2)です。
がん細胞がT細胞受容体と結合して、T細胞受容体にIL-2受容体が発現します。そして、IL-2受容体とIL-2が結合することで、感染したT細胞が飛躍的に増殖しがん細胞が増えてしまいます。
まだ殺細胞ではないT細胞、ナイーブT細胞にHTLV-1というウイルスが感染してしまうことで、IL-2受容体が大量に発生し感染した細胞が増殖してしまう、というのがATL(成人T細胞白血病)です。
二つ目は、ヘリコバクターピロリ菌についてです。
ヘリコバクターピロリ菌とは胃幽門部(胃の出口の方)に生息する螺旋状のバクテリアのことです。
ピロリ菌の持つ酵素により、尿素からアンモニアを生成して菌の外側に膜を張ります。その膜によって、胃酸を中和して胃の中でも生息できるようになります。
研究により、
ピロリ菌を持っている群は、毎年一定数の胃がん患者が誕生し、逆に、ピロリ菌を持っていない群は、胃がんは発症しないというデータがあります。
幼少期に日本人の半分、約5000万人がピロリ菌に感染しており、徐々に胃粘膜を傷つけてくことで最終的にがんになることがわかっているそうです。
三つ目は、ヘリコバクターピロリ菌の種類と胃がん患者の関係についてです。
日本人(アジア人)は他国に比べ胃がんにかかりやすいです。
それはなぜか...?
実は、ピロリ菌は、大きく二種類存在します。
一種類目が、東アジア型ピロリ菌
二種類目が、欧米型ピロリ菌 です。
ピロリ菌は、体内のタンパク質(CagA)を体の一部である針で注射針のように細胞内に注入し、その注入したタンパク質により、最終的に胃がんが発生するのですが、
実は...
アジア型ピロリ菌には、欧米型には存在しないアミノ酸配列があり、それによりCagAがSHP2という分子と約100倍の結合しやすくなります。それにより、アジア型ピロリ菌の方ががんを発症しやすくなり、このピロリ菌が多い地域の方が胃がんを発症する人も増えているのです。
名前の通り、日本は東アジア型ピロリ菌が生息していて感染するので、胃がんの発症率が高くなるのです。
畠山先生の最終講義は、非常に中身が濃く他にも多くのことを話していましたが、僕が実際に理解できたのは、この程度でした。
しかし、実際の研究者がどういう考えでその研究をし始めたのか、何を考えてその実験をしたのかなどが少しですが知ることができて良かったです。
また、研究の内容とは関係ないのですが、
先生との繋がりが無かったとしても、興味のある分野を研究する為に積極的に行動していたのがすごいなと感じました。そういった主体性が多くの賞や有名雑誌に載るといった功績につながっているのだなと感じました。
僕は、行動を起こす前にあれこれ考えてしまい、結局行動に移すことができないことが多いので、真似していこうと思いました。
復習した言葉
カスケード:情報の伝達反応