薬学生わろの日常ブログ

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腎機能の評価方法 ~講義振り返り~

 

2022/6/7 講義名:薬物動態

 

今日は、腎機能の評価について学びました。

簡単に言うと、腎臓が正常に機能しているのか、それとも不具合が生じているのかをどうやって見分けるのか?ということです。

 

評価するうえで、鍵になる物質は、クレアチニンです。

 

クレアチニンとは、筋肉中のクレアチン代謝産物であり、骨格筋で生成されます。

筋肉から血漿中に移行したクレアチニンのほとんどが、糸球体でろ過され尿中に排出されます。

そのため、血漿中のクレアチニン濃度は腎機能を評価する糸球体ろ過速度(GFR)に依存し、GFRが上昇(低下)すると、クレアチニン濃度も上昇(低下)します。

 

 

そもそも、なぜクレアチニン濃度やGFRを測定する必要があるのか??

患者に薬物を投与する時、その患者がどの程度排出能力があるのかを調べなければいけません。なぜなら、薬を体内に長期間ある状態を防ぐ必要があるからです。腎機能が低下している患者には、薬の投与量を少なくしなければいけません。

 

そのために、体内のクレアチニンの量を測定し、GFRが高いのか低いのかを知る必要があります。

 

クレアチニンの量を測定する為に、クレアチニンリアランスというものを見ます。

クレアチニンリアランスとは、「単位時間あたりにクレアチニンを含む血漿の一定の容積を浄化する腎の処理能力」と表すことができ、要するに、

 

腎臓の排出能力を見ることができるもの

 

です。

 

 

次に、クレアチニンリアランスの算出について学びました。

ここで大切なのは、実測クレアチニンリアランスではなく、より簡便な推定クレアチニンリアランスの方が良く使われるということです。

 

推定クレアチニンリアランスでは、Cockcroft-Gault式を使います。

 

CLcr(mL/min)=(140-年齢)*体重(kg)/72*Scr(mg/dL)


※Scr:血清クレアチニン

 

血清中クレアチニン濃度と体重、年齢、性別などの手に入りやすい情報だけを元に計算できるのは便利で良いなと思いました。

 

しかし...

 

実測クレアチニンリアランスは、

CLcr=尿量*尿中クレアチニン濃度/血清クレアチニン値*畜尿時間

 

なんですが、例えば同じ血清クレアチニン値でも大量に短い時間で流れたのか、それともちょびちょびと長い時間で流れたのかによって実測の方は値が変化しますが、推定の方では値が変化しないので、推定値だと真の値からずれてしまうというデメリットもあります。

 

 

次に、尿中未変化体の排泄率について学びました。

投与された薬が代謝などの変化を受けることなくそのまま(親化合物のまま)腎臓を通って未変化体で尿中から排出される割合のことを言います。

式は、 尿中未変化体排出量/薬物吸収量。

例えば、この値が0に近い場合、肝臓で排出されるタイプの薬物で、この値が1に近い場合、腎排泄型の薬物と言えます。

 

肝排泄型薬物と腎排泄型薬物では特徴に大きな違いがあり、例えば消化管での吸収は、肝排泄型の場合高いがばらつきがあるのに対し、腎排泄型の場合低いが値は一定という違いがあります。