EBMと臨床研究 ~講義振り返り~
2022/6/10 講義「バイオスタティスティクス」
EBMとは何か?
EBMとは、「Evidence Based Medicine」のことで、日本語で言うと、根拠の基づく医療のことを言います。
EBMの実践には、「患者の病状、周囲の環境」「患者の価値観」「医療者の実践経験」「臨床研究由来のエビデンス」という4つの要素が関連しています。
EBM実践のプロセスは、大きく5ステップあります。
まず、第1ステップ。このステップでは、問題の抽出・定式化をします。
要するに、問題点を言語化し、明確にすることです。
意識することは、大きく4つあります。
Patient(どんな患者に、誰に)
Intervention / Exposure(何を、どんな介入を)
Comparison(何と比べて)
Outcome(どのような結果になるのか)
これらの頭文字から、PICO(PECO)を意識すると覚えます。
次に第2ステップ。情報収集の過程です。ここでのポイントは、基礎研究とは逆で、情報の加工度合いが高いEBMに基づいた教科書や診療ガイドラインなどから情報を収集していくことです。情報の加工度合いの少ない論文などは、一番最後に見ます。
第3ステップは、得られた情報の批判的な吟味です。その研究論文を最初から信頼するのではなく、一度批判的な目で見ることが大切です。このように論文の内容があってるのか評価することを「内的妥当性」と言います。
第4ステップは、外的妥当性を評価します。その研究内容が現実に適用できるのかを判断します。
そして、最後の第5ステップは、行為の評価です。自分をした行為が正しかったのかを振り返ります。
次に、臨床研究の分類について学びました。
正直、分類がかなり多くびっくりしました。
臨床研究は大きく分けると、介入研究と観察研究(疫学研究)の2つに分けられます。
まず、介入研究。
介入研究は、ランダム化比較試験(RCT)について一番説明していました。ランダム化比較試験とは、設定した群に偏りが生じないようにランダムに選んで比較をする試験です。EBMにおいて、信頼性が最も高い臨床研究です。
次に、観察研究についてです。観察研究も分類は様々あるのですが、一番覚えなければならないのは、コホート研究です。
コホート研究は、ある疾患との関連性がある人達を集めて、その人たちを長期間追跡観察をし、原因と考えられる要因と結果との関連を明らかにしようとする研究方法です。やり方としては、現時点における研究対象者を要因・治療の有無によって二群に分け、その後疾患がどうなったのかを追跡します。
関連性の指標として、主にリスク比というものを使います。
他にも、RR、相対リスク、相対危険度とも言います。
リスク比とは、要因Xを有する人の疾病Yを発症した人の割合 / 要因Xを有さない人の疾病Yを発症した人の割合のことです。
未来に向かって調査をするのは、(前向き)コホート研究、
過去に向かって調査をするのは、後ろ向きコホート研究と言います。
後ろ向きコホートとは、疾病の原因となる可能性のある要因を満たしている人たちを、まず後ろ向きにその曝露状況を調査する。そこからその集団を前向きに追跡調査を進めることです。