体質と遺伝子のサイエンス を読んで PART3
今日は、
中尾光善さん著
体質と遺伝子のサイエンス
をよ~うやく読み切ったので、5,6,7章の感想を書いていこうと思います。
第5章は、体質とエピゲノムということで、体質に大きな関わりがある「エピゲノム」について書かれていました。
エピゲノムとは、ゲノムを印付けしたもので、遺伝子の使い方を決めているものとも言えます。
前回、ゲノムを辞書、染色体を見出し、遺伝子を単語と比喩しましたが、そのように簡単に言うと、エピゲノムは
単語を正しく使えるように印付けをした辞書
とも言えると思います。
この印付けとは、DNAのメチル化やタンパク質のヒストン修飾といったことで起こっており、これにより単語(遺伝子)を正しく使えるようにしています。
この章で印象に残ったのは、一卵性双生児の話です。一卵性双生児は同じ受精卵から誕生するので遺伝的要因は大いに似ています。
ですが、成長や年齢と共にエピゲノムに差が生まれてくることがわかっています。
つまり、簡単に言えば、
体質は環境や生活習慣によって大きな変化をもたらすので、生活習慣大事だよ!
ということが書かれていました。
第6章では、エピゲノムをより解明したり技術が進歩したりすれば病気の早期診断や治療ができるのではないか?ということです。
結論的には、遺伝的な病気であればある程度可能です。遺伝子やSNPの位置がわかれば、例えば乳がんとあるSNPが強く関連していることが報告されているので、発症リスクがより正確にわかります。
ただ、以前にも述べたように体質とは、遺伝要因と環境要因が相互に作用しあっているので、中々将来の予測を完璧にするというのは難しいそうです。
僕達にできることは生活習慣をしっかり正すことで、それが最も効果的なのだとわかりました。
第7章では、身体の健康を維持して病気を予防する目的で書かれた「養生訓」の考え方について書かれていました。
養生訓では、人生を全うするためには体の養生だけでなく心の養生も大切だと説かれています。
この本では養生訓の教えがほんの少ししか載っていませんでしたが、とてもおもしろいことばかり書かれていました。
例えば、日本と中国の料理の違いについて。
中国の料理は濃い油が多く使われており、味もひどく重たい。中国人は胃腸が強いのでこのような料理を食べても平気なのだが、胃腸の弱い日本人は病気になりやすくなるだろう。日本人の料理は、淡泊で軽いものが良い。
といった具合です。おもしろい!!
自分の体の状態をよく知って日常生活に反映させることで、より良い人生を送れるのだろうなと感じました。
さて、第1章から第7章まで読んできましたが、この本を一言で表すと...
生活習慣に気をつけるかどうかで、体の調子や病気へのなりやすさが大きく変わるから、気をつけましょう!
ということが一番の主張なのかなと思いました。特に後半部分は、体質の環境要因について多く書かれていた印象です。
このように一言にまとめてしまうとちゃっちく聞こえますが、体質をゲノムやタンパク質といったミクロな視点から考えることができて、とても楽しかったです。
また、このように一冊を何回かに区切ってまとめたことで理解も深くなったので、またこのような読み方をしようと思いました。